文鳥三昧

文鳥とのなれそめ物語(6)

しーちゃんとの生活は、一筋縄ではいきませんでした。ケージの中で「出して~」ポーズをしたところで、所詮は手乗りではありません。恐らく、挿し餌育ちで人間を恐れる気持ちが薄いために、じっと見ている見なれぬ人間をもう少し近くで見てみようと思っただけなのでしょう。初めて放鳥した時は、見なれぬ人間の部屋にとまどい、あちこちにぶつかりまくった挙句、そそくさとケージに逃げ戻ってしまいました。しばらくして部屋になれると、時折頭に乗るようにはなりましたが、手乗りになるには遠い道のりの様に感じられました。それは、覚悟していたことですから失望するような事はありませんでしたが、つらかったのは非常に寂しそうだった事でした。外の野鳥の声に過敏に反応し、昼間放鳥すると窓の外の野鳥の姿ばかりを追いかけていました。

手乗り文鳥は、人間をで仲間だと認識していますから、人間が側にいれば1羽飼いでも寂しさは感じないようです。時には、人間をパートナーと思って求愛行動をとったりもします。非手乗りの鳥は、そうはいきません。いくら人間が側にいても、鳥仲間が側におらず、話相手すらいない状況は、非常に寂しいようです。

当初、1年くらいしたら婿さんを迎えてペアにしよう、と安易に考えていた私でしたが、あの寂しそうな姿を見て、考えを改めました。そして、幸運にも別のお店で挿し餌育ちの白文鳥を再び見つけ、お迎えしたのがトノ君です。その後、ペコちゃん、テンちゃん、ルート&ループと家族は増え続け、現在に至っています。その後の状況は、もはや最新のお話ですので、なれそめ物語は、これにて完結です。
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