私は、待ちきれませんでした。少し広い仮住まいを安く借りられたのをいい事に、一日でも早く文鳥を飼いたいという気持ちが日に日に高まっていきました。時は6月、文鳥の雛が手に入る時期でもありまん。それでも、インターネットで荒鳥を手乗り化した体験談などを読みあさり「荒鳥を飼ってきて少しづつ仲良くなるのもいいなぁ」などと考え始める始末でした。
「建て替えが終わった後に雛を買ってきて育てよう。まずは、そのためにはいいペットショップを見つけよう」そう思って、ペットショップ巡りを始めました。ただ、心の中のもう一人の自分は「そんな事言っても、可愛い文鳥を見たら速攻で買いたくなるくせに…」とつぶやいていましたが。
場所はスーパー三和のペットコーナー。ケンカをして引き離されたのか、2羽の文鳥(白と桜)のケージとは別に、白錦華鳥と思われるフィンチといっしょに入れられている白文鳥が1羽いました。3羽ともヒナ換羽を終えたばかりの若鳥のようでした。1羽だけ隔離されていた白文鳥のケージをのぞくと、つぶらな瞳でじっと見つめ返してくれるではありませんか。
「可愛い!」
手を差し伸べても怖がる様子もありません。そのうち、ケージの前面に飛びついて、じっとこちらを見つめるしぐさを始めました。手乗り文鳥によくありがちな「出して~」ポーズです。この文鳥は「何か」が違う。直感的に、そう感じました。もはや抵抗は無意味です。「この子を連れて帰らなければ、きっと一生後悔するに違いない。」この白文鳥に洗脳された私は、この子を仮住まいに連れて帰りました。この子が、しーちゃんです。